18/09/13
引用:『PCオンラインゲームのブログ まいにちがβテスト』ブログ|ファミ通.com
テレビやネットのニュースでときどき、廃止になる車両や路線の「さよなら運転(=ラストラン)」イベントを目にしたことはありませんか?
これは、鉄道事業者が行っているイベントですが、鉄道の熱狂的なファンがいるために行われる「鉄道の供養イベント」といえるでしょう。
それまで乗車したことがないにも関わらず、廃止されると知った途端に「最後だから」といって乗りたがる“にわかファン”を「葬式鉄」と表現する言葉もあるようです。この言葉からも、さよなら運転は、供養イベントとして鉄道ファンに捉えられていることがわかります。
つつましく厳かに行われるイメージが強い「供養」ですが、さよなら運転のように、ファンが集まってにぎやかに盛り上がりながら、別れを惜しむ「供養イベント」も存在します。
今回はサブカルチャーの世界で行われてきた供養イベントを取り上げ、さまざまな供養のかたちを紹介します。
参考・参照サイト:さよなら運転 - Wikipedia
引用:『PCオンラインゲームのブログ まいにちがβテスト』ブログ|ファミ通.com
『クロスファイア』というゲームをご存知でしょうか?2008年3月にサービスを開始したオンラインゲームで、熱狂的なファンも生み出しましたが、残念ながら2018年3月31日にサービスが終了しました。
そこで、サービス終了の10日前、東京都内にある「アイ・カフェAKIBAPLACE店」内で「Crossfire Last Event」が開催されました。
非公式イベントだったにも関わらず、参加者は80人以上に達し、イベントでは各々がクロスファイアを楽しんだり、上映動画を見たりして大変な盛り上がりを見せました。
無料ではなく、特典がもらえるわけでもないイベントにたくさんの人が集まったのは、クロスファイアに対するファンの「愛」があるからではないかと、ファミ通グループのオンラインゲーム担当者のミス・ユースケ氏は推察しています。そして、このイベントを「クロスファイアを愛したプレイヤーによる追悼集会」と表現しました。
一般的な葬儀でも、故人が立派な人であればあるほどたくさんの人が集まるように、クロスファイアも偉大で、愛される存在であったからこそ、たくさんの人が訪れたのだといえるでしょう。
引用:ドリームダビングセンター
「誰も引き取ってくれないけれど、思い入れが強くてどうしても捨てられない」というものは、誰にでもひとつくらいあるのではないでしょうか。2015年3月に開催された「アニメビデオテープ供養ナイト」は、アニメビデオテープを供養するために行われたイベントです。
DVDやブルーレイディスクが一般に浸透した今、ビデオテープを視聴する機会はめったになくなりました。このイベントでは、そんな不要になったものの捨てられないアニメビデオテープを個人が持ち寄り、購入当時のビデオ事情や思い入れを語り合ったようです。最後には合掌を行って、ビデオテープを供養しています。
ただ処分するのではなく、同じファン同士が集まって、亡き人(物)に関する思い出を語り合うスタイルは、一般的な供養とそっくりですね。ひとりではなく、同じ感情を持つファン同士で見送ることで、悲しみや切なさも少しは癒えるのかもしれません。
参考・参照サイト:3月6日(金)「アニメビデオテープ供養ナイト」 | 高円寺pundit
引用:東京カルチャーカルチャー | ネットとリアルをつなぐソーシャル飲食店 | イッツコム
供養は決して形あるものだけに対して行われているのではありません。2009年と少し遡りますが、「死語」を供養するイベントが行われていたようです。
「死語ナイト~恥ずかしさと思い出し笑いで供養する会~」では、「チョベリバ」や「オタッキー」など今では使われなくなった死語を懐かしみ、思い出しながら笑って供養する趣旨のイベントでした。
当日は、雰囲気を演出するために喪服で参加した方もいたそうです。イベント会場では昭和50年代に大流行した「紅茶キノコ」が提供されたり、これから死語になりそうな言葉が発表されたり、ドラマや映画で見かけなくなった「死チュエーション」を再現したりとユニークな企画が盛りだくさん。死語や廃れた文化を懐かしみながら、明るくシェアできるイベントになったようです。
参考・参照サイト:死語ナイト ~恥ずかしさと思い出し笑いで供養する会~ | 東京カルチャーカルチャー | ネットとリアルをつなぐソーシャル飲食店 | イッツコム
「供養」というと寂しいイメージがありますが、元々は故人の思い出を語り、別れを受け入れながら、これまでの感謝の気持ちを込めて送り出す前向きなイベントです。それでも、ひとりで行うと寂しくなりますが、大人数で行うことで気持ちを前向きに切り替えられたり、思い出話を共有できたりとたくさんの魅力があります。
サブカルチャーのファンが生み出す「供養イベント」は、今後さまざまなジャンルで開催されていくことが期待されます。