コロナ禍において生まれてきた新しい供養のかたち

20/08/31

 新型コロナウイルスの感染拡大は、仕事や学校教育の在り方から、家庭での団らんの過ごし方にいたるまで、私たちの社会や日常を大きく変えました。また、今年のお盆に関して言えば、皆さんのなかには帰省を自粛し、お墓参りや法要への参加も見合わせたという方も多いことでしょう。そんな例年と違ったお盆のスタイルに呼応するかのように、仏事や葬儀の業界でこれまでになかったサービスが次々と登場してきたのはご存知でしょうか。今回はコロナ禍で生まれたそうした新しい動きにスポットを当ててみたいと思います。

里帰りの代わりにオンラインで墓参り

里帰りの代わりにオンラインで墓参り

 日本の夏の風習である「お盆」には、各家庭でお供えをして提灯を飾ったり、家族や親戚縁者が集いお墓参りに行ったりして、祖先の霊を祀り供養するのが一般的です。しかし、2020年のお盆は、新型コロナウイルス感染防止の観点から、帰省を見送った方が多く、例年とは違うお盆になりました。故郷のご家族も、さすがに遠く離れた地から帰省しづらいことを理解してくれたと思いますが、逆に余計に両親や親戚の傍で、ご先祖に手を合わせたくなったという方もいらっしゃるのでは?各地のお寺では、お盆期間を長く設け、密を避けて早目にお参りするよう、檀家に呼びかけていたところも今年は多かったと聞きます。
 そんなコロナ禍のお盆に注目を集めたのが、お墓参りやお墓の掃除を代行するサービスです。これまでも体の具合が悪い方、仕事で帰省できない方などが、地元の便利屋さんや大手掃除代行会社に依頼して、墓参りや掃除を代行してもらうことはありましたが、今年はお盆に帰省したくてもできない方のために、“オンライン墓参り”という代行サービスを行う業者が各地に登場しました。これは遠方の家族・親戚に対し、Zoomなどのテレビ会議システムを通じて、たとえば墓地の草取りや墓石の清掃から、花や線香をあげて手を合わせるところまで、オンラインで墓参りを生中継するサービスです。里帰りせずとも、遠方からスマートフォンのアプリを使うだけで、お盆の墓参りに参加できるとして好評だったようです。
 オンライン以外のユニークなところでは、“ふるさと納税”の返礼品に墓参りや墓地清掃の代行サービスを用意している自治体があることは、意外に知られていないかもしれません。あなたの故郷にも導入されているか、地元自治体のホームページ等を一度チェックしてみることをお勧めします。酷暑のなかの墓掃除は、高齢なご両親にはきつい作業でしょうから、帰省できない代わりに代行サービスを利用するのも一つの親孝行。また、墓の掃除や献花、焼香まで代行してくれるサービスは、現地までの移動費を考えたらコスト的にもお得といえそうです。

参考・参照サイト
北海道ニュースUHB

「3密」を回避して行うこれからの法要

「3密」を回避して行うこれからの法要

引用:朝日新聞デジタル

 墓参りについては、コロナ禍であっても前述の代行サービスを利用することで遠隔で行えそうですが、お寺で行う「初七日」「四十九日」「一周忌」等の年忌法要や彼岸法要などの法事についてはどうでしょう。やはり新型コロナの影響で、何か変わってきているのでしょうか。
 そもそもお寺で行う儀式は、密閉・密集・密接の「3密」になりがちなため、今年は感染リスクを回避して、法事のキャンセルや中止が相次いでいるといいます。こうした状況を打破するべく、インターネットを介した法要の新しいサービス“オンライン法要”が登場しました。
 これはお寺の僧侶によって行われる儀式の様子を、ZoomやYouTubeなど、テレビ会議や動画配信のシステムを利用してインターネット中継するというサービスです。一般社団法人 法要普及協会や東京・築地にある築地本願寺などでサービスがスタートし、テレビやニュースにも取り上げられ話題になり、各地で同様のサービスを行うお寺が出てきています。
 当然“オンライン法要”は、人との接触を伴わないサービスですから、参加者は「3密」を避けた上で、遠く離れた自宅にいながらタブレット等の端末のモニター越しに、リアルタイムで法要参拝の儀式に参加できることになります。僧侶の読経や法話の時間を含む、法要を終えるまでの時間は30分ほど。スマートフォンやタブレットなどの操作が不慣れな高齢者に対して、読経や法話を電話で聞かせるサービスを用意している業者もあるようです。
 法要は故人とじっくり向き合い、感謝の気持ちを新たにする特別な時間。たとえ離れた場所にいようとも、実際の儀式に参列していたとしても、故人を大切に思う心に違いはありません。そう考えると“オンライン法要”のサービスは、新型コロナの問題は関係なく、供養の気持ちを次世代につないでいくという意味において、これから必要とされる新しいサービスが、たまたまこのタイミングで生まれたといっても良いのではないでしょうか。

参考・参照サイト
NHK NEWS WEB
朝日新聞デジタル

離れた場所からでも最期のお別れを

離れた場所からでも最期のお別れを
オンライン葬儀イメージ

 新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年3月頃、お葬式の在り方にも大きな変化が生まれました。葬儀が小規模化され、家族葬や一日葬を選ばれるご遺族が増えたり、葬儀後の会食をしないケースも見られるようになりました。それならまだ良い方といえ、タレントの志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で死去された際に、肉親でも対面が許されなかったように、当初は通夜や葬儀に参列したくともできないケースがあったようです。
 そうしたなか、大切な方との最期のお別れもできないような事態を、少しでも減らそうという目的で登場したサービスがあります。“オンライン葬儀”です。これは、お葬式に参列できない人が、離れた場所からスマートフォンやPC等で葬儀のライブ配信動画を見ながら、故人との最期のお別れとお見送りができるサービスです。
 たとえば、メールやLINE等による親戚・知人・友人への訃報の案内から、故人を偲ぶ想い出の写真のWEB上での閲覧、お葬式の様子の動画ライブ配信までの機能が揃ったサービスが主流のようです。これなら、たとえ出張中であっても、入院中でも、スマホやPCのモニター画面を通して葬儀に参列できます。各地域の葬儀社や業者がそれぞれに独自の方法でサービスを展開しているようですので、故人やご遺族の意向に添う形のサービスを選ぶと良いでしょう。
 新型コロナウイルスの影響により、墓参りから法要、お葬式までもオンラインで参加するという、一年前は誰も予想もしなかった時代が突然やってきました。わざわざ時間を割いて足を運ぶことで気持ちを示していた以前の常識からは考えられませんが、故人を偲ぶ目的に違いはありません。サービスの利用には、スマートフォン・カメラ付PC・タブレット等の端末やインターネット環境の準備、アプリの事前のダウンロードなどが必要ですが、ウィズコロナ時代の供養の新しいスタイルとして、ポストコロナにおいても人々の間に根付いていくことでしょう。

 さて、来る9月4日は『供養の日』。その日、供養の日普及推進協会では、“新型コロナウイルス感染症『病没者供養と終息祈願』”と題した特別法要を薬師寺にて行います。法要の様子はライブ配信を予定していますので、皆様もぜひ下記URLよりご参列ください。

参考・参照サイト
供養の日 特別法要

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